#053 奇跡のチームをつくる(その3)

西みつえ(化粧品メーカー勤務 スタッフマネジャー)

 

一番得意なことを手放せるか

振りかえってみると、一番最初にリーダーとして失敗した経験が自分を強くしてくれました。

あの時なぜ失敗したのかというと、自分が得意なことを手放せず、自分がやった方が早いとか、自分が頑張れば人はついてくるとか、自分自身にしか矢印が向いていなかったこと、だと思います。

人からの評価ばかりが気になり、自分の人生のハンドルを握ることが出来ていませんでした。

自分が得意なこと、やりたいことを手放して、人に任せることが出来るか。途中で口をはさんだり、手を出したり、自分が上書きしたくなったりすることを手放せるか。

自分の中にある虚栄心や自己顕示欲をちゃんと認めてあげること。マウンティングしそうになっていることもちゃんとわかってあげること。

自分の弱さや嫌なところも大事にすることで、人の弱さも許すことが出来る、と思います。

あの時の失敗があったから、あの時の辛い思いがあったから、今がある。

チャンスはピンチの仮面をかぶってあらわれ、ギフトとして返ってくる。

逃げずに、あきらめずに、人に向き合っていく時に未来の扉は開くと思っています。

 

愛と感謝の循環する社会を目指して

私は、本当にできることとできないことが極端です。

自分自身がそうなので、メンバーには何が好きで何が嫌いで、どういう風に生きたいのかということをたくさん聞きます。

誰かの弱みが誰かの強みになる。

出来ないことを言うから、得意な人が助けてくれる時にその人の強みが発揮されて、自己肯定感や自己効力感が満たされるのかもしれません。

自分が得意なことで、人が喜んでくれることは、とても幸せなことだと思います。

チームを見ていて思いますが、全員が一緒に落ちたり、一緒に上がったりすることはないと思います。誰かが落ちたり誰かが上がったりしますが、助けてもらった人が今度は人を助けたり、助けられたりと繰り返しながら、スパイラルに上がっていくところから奇跡のチームは生まれていくのかもしれません。

弱音を言ってもいい、安心して失敗出来る。でも、必ず誰かが助けようとする、そういう愛と感謝の循環するチーム

人はひとりでは何も出来ない、だけどチームなら希望が見える

私は、一人ひとりが、その人らしくキラキラ輝いて幸せになってほしい、と願っています。

そのための奇跡のチームづくりを、場所が変わっても、人が変わっても、作り続けていけたらと思っています。

 

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