#002 ドラッカーを実践する

佐藤等(佐藤等公認会計士事務所、ドラッカー学会 理事)

【著作】『実践するドラッカー』シリーズ(ダイヤモンド社)、『ドラッカーを読んだら会社が変わった!』(ダイヤモンド社)

 

「読書会」に出会う

私がドラッカー教授の著作に再会したのは、働きながら大学院に進んだ2000年の春でした。授業で取り上げたわけではなく、修士論文を書くための基礎力を養成するために指導教官が行ったある学習方法がきっかけでした。「読書会」という名の学習方法でした。そこには厳密な所作がありました。聞けば、先生が学部生だったころに指導教官から施された方法でした。

ドラッカーに出会う

その読書会では多くの著作を読み、レポートを書きました。最初に読んだ著作が『経営者の条件』(1966)でした。そこで著作に再会しました。私が過去に読んだ著作の中の一冊でしたが、その時の衝撃は今でも忘れません。「成果をあげる能力」というものが世の中にあったのか……と驚きしかありませんでした。その時、私は39歳になっていました。

「読書会」を始める

大学院を修了して1年を経過した頃、私は読書会を始めました。大学院時代に読書会で読んだドラッカーの著作数冊は、私の脳裏を離れることはありませんでした。社会で働く人々に広めるべきとの思いが背中を押してくれました。1回1章を原則として参加者とともに精読しました。濃厚な内容であるだけに、いつもの雑な読み方では得るものが少ないと考えたからです。

「実践」を始める

「成果をあげる能力」という言葉と出会ったとき、驚きとともに懐疑の念が起こりました―「本当だろうか」。自分でやってみるしかない……。こうして私と読書会参加者の実践が始まりました。時間管理、強みを生かす…試行錯誤の数年間でした。こうしてセルフマネジメントの領域では、少しずつ成果が出てくることが確認できるようになりました。

学ぶとは言葉を実践すること

ドラッカー教授は、真の理解は実践のあとに来るといいます。読書会は今必要としている言葉に出会う場だと考えています。その必要性は、課題があるから生まれるものです。課題に挑戦するための言葉とその実践が、真にドラッカーを学ぶという意味です。

このことは、今後も私の人生で貫いていくことでしょう。読書会という方法とドラッカーというコンテンツ(言葉)に感謝しつつ。

  • ドラッカー学会 Drucker Workshop