#052 奇跡のチームをつくる(その2)

西みつえ(化粧品メーカー勤務 スタッフマネジャー)

 

フィードバックすること

今の仕事は、遠隔地の方に向けての研修や情報発信をしているところで、現場から離れスタッフとして働いています。

普段は会うことがない方たちに向けて、研修をしたり、情報を提供していますが、ただ情報を渡すだけでなく、フィードバックが大事だと思っています。

研修を実施しても、現場に戻れば日常があります。

どうしても忘れてしまい、いつもの日々になってしまう。継続するためには仕組みが必要だと思っています。

毎月、自分の立てた目標に対して、気持ちの変化と行動、それがどう影響して成果になったのか、を書いてもらいます。

それに対して、コメントをつけて、他の方が書いたものもわかるようにまとめてフィードバックしています。

ともすれば忙しさに振り回されてしまうからこそ、振り返る時間を持つこと、他人が見てわかるようなアウトプットをすることで客観的に自分をみること、他の人が書いているものを読んで異なる視点から考えられるようになること、そういうことを考えて実施してもらっています。

2か月経ち、3か月経ってくると、言葉が揃ってきます。

指示命令では浸透するのは難しいと思いますが、自分たちで考え、言語化することで、言葉が揃い、ベクトルが揃ってきたときに、組織としての風土や文化が変わってくるのではないかと思います。

 

時間軸で考える

成果を出すためには時間がかかると思っています。

個人対個人であれば、もう少し短い時間でも出来ると思いますが、組織全体に浸透していって成果を出すためには、こちらが考えている事を理解してもらうのに、3か月ほどかかります。それが実行できるようになるのに半年、習慣化して成果になるには1年かかるということを最初から考えて、時間軸を持って取り組むようにしています。

最初の1カ月で反応してくれる人は1割ぐらい、3割いたら上出来、というように、目安を決めておくと、心に余裕が出来ると思います。わかってくれるはず、という思いこみを手放すことが、大切だと思ってます。
習慣化するのには時間がかかる、それをわかっている上で、どうしたら反応が変わるのかを考えながら、フィードバックすることを飽きず、あきらめずに繰り返していくと、少しずつ変わっていきます。

イメージとしては湖のあちこちに小石を投げる感じです。

小さな波紋があちこちに出来て、それが大きな波になっていく。うねりのように空気が広がっていくのを、感じながら投げていく、という感じです。

賛同してくれる人が1割から3割になり6割になった時に、一気に加速して変わるという実感があります。

「本当にやるのか?→本気なんだ→まだやるのか?→ここまでやるのか」という空気をつくっていけたら、変わると思っています。

反対勢力は必ず出てくる

 何かをやるのに、全員が賛成ということの方が危険で、反対意見が出てきてようやく自分事で考えてくれていると思うようにしています。

その時に、相手に真摯に向き合って、本音で話してもらうために、相手のフィールドに入って一日一緒に仕事をする、ということをしてきました。

まさか本当に来るとは思っていないので、びっくりされますが、本気は伝わります。

私自身、心が強いわけではないので、正直否定されることがわかっているところに飛び込むのは嫌ですし、怒っている人のところに行くのは嫌です。

でも放っておくと、もっと行きたくなくなるし、避ければ避けるほど関係性は悪くなる。だから心が感じる前にえいやっと行動することにしています。

一緒に仕事をしたり、一緒に昼食食べたりする中で、本音で話せるようになり、相手の言っていることもこちらの言いたいこともわかると、その上でどうするかを一緒に考えていく中で、協力者になってくれると思います。

反対意見を言ってくれたり、不平不満を言ってくれるのは相手の中に考えがあることなので、貴重でありがたいことだと思っています。

ある時、一方的に批判をされた時に、「そんな風に、真剣に考えてくれてありがとうございます」と言ったら

「だって、みんな幸せになってほしいでしょ」と言われて、びっくりしました。

人は、肯定から話すと、肯定で応えてくれるんだと思った瞬間でした。

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