#016 このバスに乗ったのは、素晴らしい人たちが乗っているからだ

佐々木康太(株式会社東北堂 取締役)

 

ドラッカーのコミュニティには、学術的な研究を行う方、学びを現場で活かそうとする方、ドラッカーご本人が大好きな方など、さまざまな方がいらっしゃいます。

そのなかで、とくに私が惹かれたのは、その場に集う魅力的な方々の存在でした。

そもそも読書会に参加したのは、家業を継ぐために東京から仙台に戻ったことがきっかけです。がらりと環境が変わって一人ぼっちに。「会社のために、もっともっと頑張らなければ」と、いつもピリピリしていました。

そんなときに出会ったのが、桂利治さんが主催されている「ドラッカー仙台読書会」でした。真摯で、かつリラックスした雰囲気の、すてきな読書会です。ときにドラッカーから話が外れることはあっても、その脱線がまた面白い。信頼できる方々に魅せられて、すっかりお邪魔させていただくようになりました。

そこでのご縁のおかげで、再び東京に出てきてからは、井坂康志さんが主宰されている渋ドラ(渋澤ドラッカー研究会)に参加させていただきました。こちらも魅力的な方々ばかりで、まさに温泉に入ったような心のゆとりを持つことができました。

私にとって、読書会はセーフティゾーン。普段の仕事や生活の変化で心が揺らいだときも、心がリセットできる。モチベーションが上がり、自分のしたいことは何か、自分の強みは何なのか、原点に立ち戻ることができる。そのような場所です。

ドラッカーから強い影響を受けたジム・コリンズは、その著書『ビジョナリー・カンパニー2』の中で、偉大な組織を作るための取り組みとして、人の大切さについて述べています。

「人びとがバスに乗ったのは目的地が気に入ったからであれば、10キロほど走ったところで行く先を変えなければならなくなったとき、どうなるだろうか。当然、問題がおこる。だが、人びとがバスに乗ったのは同乗者が気に入ったからであれば、行く先を変えるのははるかに簡単だ。『このバスに乗ったのは、素晴らしい人たちが乗っているからだ。行く先を変える方がうまくいくんだったら、そうしよう』」

この人たちと一緒なら、きっと何をしたとしても楽しいに違いない。そう心から思えます。私にとっての「バス」は、この場所です。

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