#017 受け身をとらせないドラッカーの温かさ
福田珠恵(高校教諭)
私は一地方の高校教員で、家族とともにごくささやかに暮らしている者です。その私がドラッカーに出会い、このような場に思いを綴る機会をいただけるとは思ってもいませんでした。
「人と本との出会いが人生を変える」と佐藤等先生がおっしゃっていますが、まさに、ドラッカーへの扉を開けてくださった吉田麻子先生との出会い、ドラッカー関連の本との出会い、佐藤等先生、井坂康志先生をはじめとする著者の方々との出会い、ドラッカーを学ぶ方々との出会いが、私の人生をより主体的、能動的な方向へと向かわせています。
今回の「ネクスト・ソサエティフォーラム2017」(ドラッカー学会大会)の中で、ドラッカーの本は「受け身をとらせない本」と紹介されました。同感です。生活の中でうまくいかないことや問題にぶつかったとき、ドラッカーの言葉や問いかけは、そこであきらめることを許さないのです。
「成果は外にある」―私にとっての成果は何なのだろう。「教師の成果は生徒に現れる。できない生徒などというものは存在せず、存在しているのはできない教師だけだ。教師の役割は生徒の弱みを直すことではなく、生徒の強みを引き出すことにある」(『非営利組織の経営』)
できない生徒はいないのだ。強みは何だろう。自分で考えなければなりません。そして自分で実践していかなければなりません。試行錯誤の連続です。孤独も無力さも感じます。けれど、この言葉を通してドラッカーは常に私の可能性を引き出そうとしてくれている、私を成長へと導いてくれている、そう気がつきました。さらに、自分が成長することで誰かを幸せにすることができる。ドラッカーの温かい愛情がそこにあるようです。
ドラッカーを学ぶために集う人達にも温かさを感じます。長崎、早稲田と何もわからぬまま大会に参加しましたが、心地よい空気に包まれていました。真摯さなるものでしょうか。このご縁に感謝し、ドラッカーともっと仲良くなれるよう学びを深めていきたいと思います。