#027 「真摯さ」と真摯に向き合う

井手聡太郎(株式会社ウィッティー 代表取締役)

 

ドラッカーを読んで、様々な言葉や考え方に視界が晴れる思いがする一方、いざ自分が実践する段になるとたじろぐことも少なくない。ことに「インテグリティ(高潔・清廉)」などと言われると逃げ出したくなる。

しかし、世界で様々な企業がこの言葉の浸透に挑戦している。最近私が共感したのがダイムラー社の解釈。曰く「誰もが心に持っている善悪のコンパス、それに基づいた判断や行動及び価値観の相互理解などを指しています」(公式HPより)

日々の生活の中で私達は、様々な立場や異なる意見に遭遇し、その度選択を余儀なくされる。常に答えが用意されているわけではないから、悩み壁にぶつかる。そこで、学習し、視野を広げ、答えを探す。

ダイムラー社は、それでも判断が付かないときは「自分の中にある善悪のコンパス」で判断してよいと言う。「ヒポクラテスの誓い」にも似ている。曰く「自分が今持ち併せている知識や能力を総動員して判断した最善の治療法を選択すべし」と。

「百聞は一見に如かず」に続きがあるように、ドラッカーも読んで終わりではない。考え行動し、成果をあげて幸せを掴み、最後は民のために行動して初めて価値がある。逃げ出したりせず、最初は小さなことでよいから、世のためと今の自分が真摯に判断したことを行動に移していきたい。

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