#042 私の中のドラッカー教授

teruko sasaki  (人の可能性を引き出す人財育成トレーナー)

 

私にとってドラッカー教授の本は、大好きな友人のような存在である。

ある時は、私がやってきていることがそれでいいんだよと、励ましてもらえていること。

ある時は、大切なことが今、薄れていないか、自分がまだ出来ていないことは何かなどの自分の確認になっていること。

ある時は、歴史やある企業の事例など知らなかったことを知るような機会になっていること。ある時は、今後そういう場面に出くわした時、こうしたらいいよというヒントを得ていること。実は、まだある。

最初に手にした本は『プロフェッショナルの条件』、次に『経営者の条件』であった。

出会ったのは、まだ記憶に新しく、ドラッカー教授の本もほとんどがこれから読み進めていくというのが現状である。

ドラッカー教授の本には、私が大事だと思っている事の数々が綴られてあった。「何故ゆえに私が大切にしていることと、どうしてこうも同じなのだろうか・・・」言葉が違えど、事例が違えど、本質的に伝えていることは同じだった。ドラッカー教授は一体どのようにこの様な考えに辿り着いたのだろうかと、興味を持ったことを覚えている。

私自身は社会人になった年から現在まで、自分を成長させるためにいろんな角度から学びを深めてきた。自分自身の変革とご縁あって私のセミナーや個人セッションを受講して下さる方々の変革のサポートもしてきた。受講生さまの手にした成果の報告を聞いてとても喜びに満たされている日々がある。

『プロフェッショナルの条件』の中で、「成長と自己変革を続けるために、これらのことを紹介したのは、簡単な理由からである。それは、私が知っている人のうち、長い人生においてずっと成果をあげてきた人のすべてが、私と同じようなことを、どこかで学んでいるからである。企業で成功してきた人、学者で成功してきた人もそうである。軍人もそうである。医師や教師や芸術家もそうである」とある。なるほどと思った。ドラッカー教授も本の中で、いろいろな人との出会いから、成長していったことが書かれてあった。

以前、ある組織に仕事で関わった時、初日にして「これは、いかん」と思ったことがあった。基本的なことが出来ていない状況がそこにあった。そして、2週間経った時その組織を統括している方は私に言った。「われわれは、学生に○○しなさい。というけれど、実際自分達がそれが出来ているかといえば出来ていない。でも、佐々木さんはそれが自然とできている。この環境を変えてください」と。

実は、その時は学生さんの支援としてこの組織と関わりを持ったが、私が出来る貢献は何かと考え、すでに取り組み始めていた。私がやってきたことはただ、背中を見せるということだけ。そこから意識が変わっていく人達が徐々に現れる形となり、ゆっくりペースではあったが同じように実行する人達が出てきて、その組織の様子は初日に来た時とは少しずつ変化していった。その組織に対しては「みなさん、こうしましょう」など言ったことなどなく、「これが大事なんです」とすら言ったこともない。ただ、背中を見せてきただけである。大切だと思っていることをたとえ小さなことであったとしても、自ら取り組むこと、それがいずれはそこの組織の文化となることに繋がっていく。

そして、ドラッカー教授の本に出会った時に「コンサルタントとして多くの組織と仕事をしてきたが、成果を上げることは私自身にとっても二つの意味で決定的に重要だった。知識の権威としてのコンサルタントは、自らが成果をあげなければならない」とあった、そこを読んだ時、ドラッカー教授もそこを大事にされてきたんだということを知り、嬉しくなった記憶がある。同じ価値観を大事にしているという感覚である。

以前、マンツーマンの指導中に笑われることがあった。なぜ笑っているのかと尋ねると、その方は、「本当に、天職なんですね」と、私が熱心に話す様子や指導する様子を見て、そう感じ取ったようである。その時の私の反応は「やっぱり、わかるんですね」と、自分でも笑ってしまった。

今は、教育に関わること、小学生から70代経営者まで幅広い人財育成をしているが、以前は、教育とは無縁の業界にいた。もちろん、その業界での仕事は自分が当時したい職種だった。そして、教育に興味すらなかった。私の才能を見出していた人もいた。でも当時の私は興味がないから素通りしていた。なので、自分の天職を感じた時に、遠回りをしてきたんだなと感じたことがあった。今なら、もう少し早く見つける術を使うであろうに、と思っていた。

だが、「最初の仕事はくじ引きである。最初から自らに適した仕事に就く確率は高くない。得るべきところを知り、向いた仕事に移れるようになるには数年が必要である」とドラッカー教授の本には綴られてあった。その言葉を見つけた時、「あっ、それで良かったんだ」と安心させてもらったことがあった。

タイムマネジメントに関しては、随分前にかなり考えてきた。時間の使い方が上手くないと感じていた時があった。そして、辿り着いたものの一つ、時間とは感情であるということを意識してきた。私はその中で大切にしていることが、タイムマネジメントがTODOリストになってしまわぬことである。たとえ忙しい中であったとしても、タスクを完了するだけ、成果を出すだけではなく、「心を失わないようにしているか」を自分に問いかける。やっているプロセスが楽しいか、充実しているか、やりがいを感じているか。それが大事だと私は思うからである。もし、この先、ドラッカー教授の本を読みすすめていく中で、こういったことも書いてあったとしたら嬉しく感じるだろう。

さらに今、タイムマネジメントに関しては第二次改革というような状況を試行錯誤している。なかなか手強い。考慮しなければならない条件も考える必要があるからである。

二次改革では、ドラッカー教授の本からヒントを探してみようと思っている。まだ、理解していない何かがあるかもしれない。

今の私にとってドラッカー教授の本は、大好きな友人のような存在であるが、今後ドラッカー教授の本を読み進めていく中で、それは変化していくかもしれない。まだまだ未熟であるということと、読んでいない本の方が圧倒的に多いことと、どんな言葉に出会うか、私のまだ知らない何かに出会うことの期待があるからである。もちろん、あくまでドラッカー教授の世界観の一部であり価値観の一部であるから、自分が成果を出してきたことと違うことや、当てはまらないこともあるかもしれないが、きっと多くのことが私に役立つことであろうと思っている。

ドラッカー教授、そしてこれを読んで下さったあなたにとって、素晴らしい一日でありますように。

愛と感謝をこめて。。

 

  • ドラッカー学会 Drucker Workshop