#018 初心者が成果を得ながら読書を楽しむ方法

原田由美子(Six Stars Consulting)

 

「もう、やめなきゃいけないかな……」

2016年の春、私は自分に失望していました。起業後10年が過ぎたものの、イメージする成果があがらず、兆しも見えず、その原因もわからず、徒労感だけが募る毎日―。

そんな落ち込んでいた私の手元に届いた書籍、それは『自らをマネジメントする ドラッカー流「フィードバック」手帳』(かんき出版)。書籍を手にした瞬間、「これかもしれない!」と感じ、著者の井坂さんが紹介する、手帳を使った「自分との対話」をスタート。

「自分との対話」を進めるうちに、この方法の凄さが理解できました。その凄さとは精神的な安定感の増幅です。

仕事柄、私は以前から日々の振り返りをしていました。しかし、やればやるほど落ち込み疲れ切っていきました。その原因は、目標と現実が乖離する中で「できないこと」に意識を向けて、その原因を掘り下げ、できるようになる努力を続けていたからです。「フィードバック手帳」に出会うまでは、そのことが自分を追い詰めていることに全く気づかずにいました。

では、「フィードバック手帳」は何が違うのでしょうか?

それは、求める成果を明らかにし、その成果につながるささやかな出来事(行動からの気づき、他者からのフィードバック、思わぬ成功など)を「強みの原石」として書き留める点です。そして、日々それを増やし続けます。すると自ずと成果につながる行動の量が増え、結果として成果があがるのです。

シンプルにいうと「成果につながる思考と行動の量が増加する」ため、「無駄な努力をしなくて済む」ということです。そして、それは次第に業績にも反映されます。

これからドラッカーを読んでみたい方へのお勧めは、この「フィードバック手帳」の実践を通じ、自分が望む成果の手ごたえを得ていただくこと。そのうえで、膨大な量のドラッカー氏の書籍の中から気になる1冊を手に取っていただくと、その時々で必要なメッセージが受け取れると思います。

誰よりも成果に強いこだわりを持っていたドラッカー氏です。望む成果を得ながら読書を楽しむ。こんな読書のスタイルもあると思います。

失望を感じたとき、それは、希望の扉の前に立っている瞬間かもしれません。

  • ドラッカー学会 Drucker Workshop