#003 人生を変えるドラッカー
吉田麻子(株式会社カラーディア 代表取締役)
【著作】『人生を変えるドラッカー』(ダイヤモンド社)
―自らをマネジメントすることは常に可能である。
ドラッカーが書いた『経営者の条件』の、この鮮烈なまえがきの言葉は私の人生の宝物となっています。この言葉を静かに心の中で唱えるだけで、自分の心がすっと正道に戻り、内なるエネルギーを感じられ、人生の可動域が広がる感覚をもつことができ、なすべきことに向かおうとする自分の気持ちを鼓舞することができるのです。
私がドラッカーと出会ったのは、札幌で佐藤等先生が主宰されていたナレッジプラザという経営者のための勉強会の場でした。カラーの仕事で起業したばかりの私にとって、「ドラッカー」というのは敷居の高い難解なものに感じられ、どんどん盛り上がっていくドラッカー熱を帯びた読書会の人気を、当時の私は少し遠くから憧れと諦めの混じった気持ちで眺めていたものでした。ですが、その読書会から成果をあげる人物、変化した会社などの例がどんどんあらわれていくのを見るにつれ、私のドラッカーへの興味は大きく膨らんでいき、私もその学びに参加したいと門を叩きました。
今では私も読書会を実施する側となり、ドラッカーとの出会いの場づくりをさせていただくようになりました。参加者の方がドラッカーの言葉と出合い変化していく様子を拝見するのは最高の喜びです。その変化たるやどれもが素晴らしいものだったので、それを見ている喜びが個人的興奮に収まらず、より多くの人にドラッカーとの出会いをしてほしいと強く願うようになり、私がかつて感じた敷居の高さを多少なりとも払拭できる一冊になれば、と『人生を変えるドラッカー』(ダイヤモンド社)という小説を書きました。
生まれて初めて長編小説を書きあげるエネルギーの源となったのは、ドラッカーに出会い変化した人々への感動そのものだったと思います。ドラッカーを学んでいるとそのような人々との素晴らしいご縁をいただくことができるのも、ドラッカーから離れられない重大な理由の一つとなっています。