#012 読書会のコミュニケーション

池田雅彦(内科医、医学博士、労働衛生コンサルタント)

 

私とドラッカーとの出会いとその後の展開は、「ドラッカーフォーラム」(ドラッカー学会、2017年4月号http://bit.ly/2pRjO9I)のエッセイ(p.19)にゆずる。

ここでは、多くのドラッカー読書会・勉強会に参加させていただいて感じていることを書き記す。それは「言葉の定義」の重要性である。 同じ文章を読んで読書会に参加しても、その解釈、気づきは参加者により千差万別である。それは、珍しくない。

それらの読書会において「言葉(単語)の解釈が異なる」ことに違和感を覚えることも少なくない。私は、そんな「言葉(単語)」に関して、相手の持つ「解釈・定義・イメージの確認」を心がけている。

「解釈が異なること」は、「価値観の多様性」から自分にはない視点を与えてくれる。また「議論が“かみ合わない”原因の明確化」にもなりうると考えている。しかし、言葉(単語)の解釈・定義・イメージについて問題提起すると「文章の本筋とは関係ない些末な話題」として「言葉の定義についての議論」を忌避されるケースがある。

その場合は「言葉(単語)」を話題にせず、「文章」や「エピソ-ド」などを話題にしながら、「お互いの言葉(単語)に関する解釈が異なる」ことを詳らかにするための「質問」を考える。

私にとっては最高の「頭の体操」である。「お互い『違い』」が明らかになったときには、満足感を堪能する。これが私のコミュニケーションであり、読書会での密かな楽しみである。

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