ドラッカーと私
ボブ・ビュフォード著、井坂康志訳/NTT出版
ドラッカーに学んで本当に人生を変えてしまった事業家の物語
ドラッカーに学んだ人が、どう自分の人生を変えたか。いわば「ドラッカー体験記」です。1980年代半ば、ケーブルテレビ会社のやり手経営者が、ドラッカーと対話するためにテキサスからカリフォルニアに飛びます。その日をきっかけに、彼、すなわちボブ・ビュフォードは第二の人生をどう創造するかという根本的な問題意識をもつようになります。
本書は、「人生をトータルに考えなさい」とのドラッカーの助言を受けてからのビュフォードがどのようにして自己変革を図っていったのか、その全過程を明らかにするドキュメントです。ビュフォードの人生を変えていったものは何だったのか。
それは問いでした。成功から貢献へ。人生の後半戦、自分が社会に貢献できる分野に何があるのだろうか。かつてケーブルテレビ会社でひたすら成功を追い求めてきた彼は、ドラッカーとの面談以来、アメリカ社会が遭遇している大きな社会変動の存在を鋭敏にキャッチします。それは新しい教会、すなわちメガチャーチの形成に彼を駆り立てることになりました。
事業、教会、第二の人生。個人としての自分と社会的存在としての自分。現実の絡み合いのなかで、最終的に個人としての生き方を選び取り、そのなかに展開されるドラマをダイナミックに描いています。「人生百年」といわれる現在、第二の人生の助走は誰にとっても無縁ではありません。21世紀を生きるすべての人に手に取ってほしい一冊です。