イノベーションと企業家精神【エッセンシャル版】

(上田惇生編訳/ダイヤモンド社)

 

「イノベーションなんて私には関係ない。それは発明家とか起業家がやることでしょ」

間違いである。ドラッカーはイノベーションを「仕事」として捉える。組織で日常的に行われるべきこととして考えているのだ。本書を読むと、「イノベーション」とはビジネスパーソンとして持つべき基礎的素養であることがわかる。

ドラッカーは、「マネジメント」の両輪は「マーケティング」と「イノベーション」であると考える。

そして「マーケティング」というものを、「販売活動」とは異質なものとして捉える。ドラッカーは「マーケティングの究極の目的は販売活動を不要にすること」という。“売る者の論理”で考えることを拒否し、顧客創造のプロセスの次元から考えるのだ。

「イノベーション」についても同じことがいえる。革新が意味を持つのは、それによる便益を受ける人々あってのことである。いかに大発見・大発明であったとしても、価値を感じる人がいなければイノベーションとはならない。

本書は、その価値をどう創造していくかについて、驚くほど親切で、驚くほど役に立つアプローチや考え方を教えてくれる。21世紀の現在もあせることのない叡智のつまった一冊である。

  • ドラッカー学会 Drucker Workshop