プロフェッショナルの条件

上田惇生編訳/ダイヤモンド社

現代の古典となるセルフマネジメントの本

自己啓発とは何だろう? 何となくうさんくさく感じる人も、そうでない人も。この本は、本物の自己啓発を教えてくれます。今日からのあなたのささやかな行動が、もしかしから3年後を激変させるかもしれない。ゼロからの知識でも十分にわかる、ドラッカー自己啓発論の粋がこの一冊に詰まっています。

刊行から20年になる今日でも、Amazonのビジネス書ベスセラーランキングの上位にとどまり続けているのがこの本のすごさを物語っています。なぜ時間を経てもドラッカーの自己啓発論は色褪せないのか。どうして今なお多くの人々をひきつけてやまないのか。それは、ふだん私たちが見逃している、大切なもの、すなわちマネジメントに本当に求められる本質が、いかんなく注ぎ込まれているからです。

とくにお勧めしたいのは、ドラッカー本人が実地に実践していたセルフマネジメントの方法です。マネジメントの父が実践していたマネジメントはどのようなものだったのでしょうか。「七つの体験」や「時間管理」「フィードバック分析」などは、文字通り自分の人生の見え方が変わってくる記述です。

その意味で、ドラッカーは克明な体験の描写を交えて、個々人の成長の真実に分け入る、仕事と人生のリアルを伝える語り部でもあります。ドラッカーの語りの中に封じ込められた歴史の叡智の細やかな感覚。日々の葛藤。そこに読者は自分自身の姿を見出すことになります。

自分はどのような価値観をもとに生きてきたのか。なぜそれが忘れられたのか。自分の強み、第二の人生、自分の中に眠る多様性など、自分の中の新境地を触発する言葉の数々がこの本には詰まっています。かくも静かに訴えながらも、強い感化力を伴う著作は意外に少ないものです。自身の豊かな可能性を展望したい方にお勧めの一冊です。

  • ドラッカー学会 Drucker Workshop