非営利組織の経営

(上田惇生訳/ダイヤモンド社)

 

本書はNPOをはじめとする非営利組織論であるにも関わらず、多くの企業経営者から絶大な支持を得ている。評論や対談、インタビューなど多様な要素で構成され、本質がさりげなく学べる。

とくに次の言葉は、広く世界に影響を与え続けている。

「成果をあげる人とあげない人の差は、才能ではない。いくつかの習慣的な姿勢と、基礎的な方法を身につけているかどうかの問題である。しかし、組織というものが最近の発明であるために、人はまだこれらのことに優れるに至っていない」

自らの能力をフルに発揮し、社会に貢献し、他者との絆を確認する場がNPOである。すでにアメリカでは、NPOが自己実現と絆の場となってかなりの年月が経過している。

本書で述べられるNPOを考えるとき、ドラッカーの自己実現論がいかに深い人間観と世界観に裏打ちされたものかがわかる。NPOは、助けられる人にとっての救いだけではない。助ける人にとっての救いでもある。一人ひとりの人間の市民性を回復させる足がかりとして、NPOが機能している。そこに本書の高邁な識見の真骨頂がある。

現在のような知識社会は、本質的に多元社会でもある。本書は、企業に勤めながら副業やNPOなどの社外活動を積極的にすべきことも教えている。個の知識や能力は、企業の占有物ではない。社外でも生かすことが、本業のためになることさえあるだろう。

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