ネクスト・ソサエティ

(上田惇生訳/ダイヤモンド社)

 

「ネクスト・ソサエティ」とは、次にやってくる新しい社会のことだ。本書の重要なテーマは、「私たちは今どこにいるのだろうか」という問題意識である。

私たちはつい経済を中心に世の中を見てしまう傾向がある。しかし、ドラッカーは「本当に大切な変化は、経済の分野ではなく、社会において起こっているのだ」という。

ドラッカーの見るところでは、「ネクスト・ソサエティ」では3つの特徴が見てとれるという。

第一に、境界のない社会であること。
第二に、上方への移動が自由な社会であること。
第三に、成功と失敗が併存する社会、すなわち高度に競争的な社会であること。

戦争と革命が吹き荒れた20世紀とはうってかわって、21世紀は個が生き生きと活躍できる時代になるという。しかも、マネジメントの持つ力がいっそう高まっていくという。

本書の出版から15年近くが経過したが、今あらためて読んでみても、ひやりと胸を衝くような驚きがある。ドラッカーが予見したことの少なからざるものが、現実になりつつあるからだ。

わけてもお金がものいう世界から、知識がものいう世界への変化である。現代においては、もはや知識が新しい通貨になりつつある。

驚くべきは、本書は彼が90歳を超えようとしている頃に書かれたという事実だ。まさに知の巨人がとらえた現在と未来である。

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